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令和6年度SSH生徒研究発表会(全国大会)

 8月6日~8日に、神戸国際展示場で行われたSSH生徒研究発表会に、氷筍班3名が参加しました。今回の参加数は、数学・情報32校,物理・工学44校,化学50校,生物(動物・医学)44校,生物(植物・農学)37校,地学24校で、合計231校がポスター発表を行いました。本校より参加した3名は、審査委員の先生に対してだけでなく、他校の先生・生徒へも丁寧にポスター発表を行いました。自作した装置の展示や氷筍ができる過程の動画が研究の内容を分かりやすくしたようで、大変好評でした。ステージ発表にたどり着くことはできませんでしたが、持てる力を精一杯発揮した良いプレゼンテーションでした。

 最終日の8日は、各分野代表校の発表を聴きました。どの分野にも共通していたのは、プレゼン技術が卓越していたこと,質問に対する受け答えが優れていたこと,粘り強く実験を繰り返すだけでなく、大学や企業の専門家の方の意見を取り入れたり、地域の方と交流を図り研究を知ってもらう努力を欠かさなかったことです。参加した生徒にとって学びが多かっただけでなく,課題研究を進めている2年次生,これから研究のテーマを設定する1年次生にとっても、伝えることが多くあると感じました。

 最後の全体講評の中で、研究内容は是非自分で見出し、粘り強く挑戦的に進めてもらいたい,と参加生徒全体に対して助言がありました。これからの本校の研究を進める際も、生徒の独自的で主体的な考えや態度を伸ばしていきたいと思います。

令和6年度 1年次生 卒業生と語る会 

 8月19日に卒業生と語る会が開催されました。本校卒業生の難関大、医学部医学科進学者6名に来校いただき、 1年次生の希望者38名が参加しました。

 大学でのキャンパスライフや研究内容、高校時代の勉強についてなど、実体験をふまえた話をしていただきました。 生徒は緊張しながらも意欲的に質問をする姿が見られ、充実した貴重な時間を過ごすことができました。

四校連携講座「地域創生学」成果発表会

8/6(火)、5日間にわたる四校連携講座「地域創生学」の最終日は、
午前に発表の最終準備、そして午後は成果発表会が行われました。
各分野のグループごとに、地域の課題に対する提言が行なわれ、
質疑応答の時間では、受講生からも積極的に意見交換が行われました。
受講生も5日間の学びを通して、大きく成長したと思います。

四校連携講座「地域創生学」【1日目】

今年度の四校連携講座「地域創生学」は7/31(水)〜8/5(火)の5日間、開講されます。

1日目は、開校式に続き、岡山大学の吉川先生の基調講演、菅原先生のグループエンカウンター、昨年度受講生からの説明、津山市からの説明、そして、班ごとのディスカッションというスケジュールでした。

2日目以降は、各分野に分かれてのフィールドワークや最終日の成果発表会に向けての準備をしていきます。

SSH遺伝子実習セミナーを行いました

7月23日(火)に3年次生の普通科・理数科の理系生物選択者を対象に津山高校SSH遺伝子実習セミナーを行いました。 岡山大学理学部生物学科の阿保達彦 教授に来校していただき、

「遺伝子発現制御実験:大腸菌ラクトースオペロンを例に」

という内容で講座を実施しました。

午前中に本日の実験の準備を行いました。まずは実験の概要説明を受けたり、使用する器具の説明を受けたりしました。

次に、大腸菌の培養です。オートピペッターで 野生株や変異株の大腸菌培養液を培地に加えていきました。そして振盪培養装置にセットして培養を開始しました。

午後からは、各培養液で酵素反応を行わせ、反応液の色を観察したり、実験結果から変異株の遺伝子型を推測したりしました。
最後に本日のまとめです。しっかりと実験内容を理解できたようです。

阿保先生、お忙しい中、貴重な講義や実験を行っていただき本当にありがとうございました。

【生徒の感想】 一部抜粋

今回のセミナーで自分たちで実際に実験してみて、変異型が何が変異してどうなっているからこういう結果が得られたというのを自分で考えたので、ラクトースオペロンに対する理解がもっと深まりました。人生で初めてピペットマンを使ったけど、自分たちが生物や化学で使っているピペットよりも性能が高くて、大学で研究している人みたいになれて嬉しかったし、大学生になったら自分で研究方法とかを考えて実験してみたいと思いました。

実験を始めたばかりの時は、何も意識することなく6本の試験官を用意していました。しかし、「ラクトースの黄色ではないかと言われたら反論できない」という言葉のように、結果を証明するためには条件を変えて様々な実験をする必要があると実感しました。教科書を見た時から、ラクトース分解物質によってリプレッサーが外れるということが不思議だったので、原理を知れて嬉しかったです。

教科書のようにきれいに実験結果が出ることは少ないと分かっていても、実際に実験をして自分の知識を組み合わせて考えることができたのはよかったと思う。また、教科書の色となぜ違って見えるのかでは培地の色が残っていたり、大腸菌が思ったより増えていなかったりといった原因が考えられ、なぜできなかったのかを考えるのも大切だと思った。

最後に先生が仰っていた最初のβ-ガラクトシダーゼの作られ方のお話について、リプレッサーの働きが100%ではないとのことでしたが、生物にとってはその機能が完璧ではないことも時には有用に働くことが分かり、とても印象に残っています。好きなことや興味あるものについて研究することはとても素敵だなと思ったので、自分の今後の学習を通して探していきたいと感じました。

理数科サイエンス探究Ⅱ 中間発表会を行いました

7月26日(金)に理数科2年次「サイエンス探究Ⅱ(課題研究)」の中間発表会を行いました。

SSH運営指導委員の先生方や課題研究指導の外部講師の方に参加していただき、物理・化学・生物・数学分野にそれぞれ分かれて計8グループが発表を行いました。研究内容や今後の方向性等について専門家の視点から様々なアドバイスやアイデアを頂き、とても充実した中間発表会になりました。

生徒たちは12月の課題研究発表会に向けて、より深い考察や分かりやすい発表を目指して今後も成長していきます。

SSH成果報告会を行いました

7月9日(火)の6・7限目にSSH成果報告会を本校で行いました。

今年度は、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構より中村正人先生をお招きし、講演を行っていただきました。中村先生から「金星探査機あかつき」という講演テーマで、2010年と2015年の金星探査プロジェクトの研究成果について美しい金星の画像とともに御講演をしていただきました。

後半は高校3年次生代表生徒による課題研究等の発表を行いました。海外研修の報告、普通科人文コース・理数科の代表生徒による課題研究についての発表を行い、全生徒と成果の共有を行うことができました。

また、放課後には中村先生を囲んで座談会を行いました。時間いっぱいまで生徒や教員からの天文学・宇宙工学・気象学など様々な質問に答えていただき、今回の講演内容をより深く理解することができました。

ソーシャル サイエンス(SSI)第2回ワークショップ

 6月29日(土)、本校の卒業生でもある早稲田大学 名誉教授 天児慧先生にご協力いただき、学校設定科目ソーシャル サイエンスⅠのオンラインによるワークショップを開催しました。

 生徒たちは、天児先生からいただいた「AIと共存する未来社会について考える」というタイトルで事前にレポートを作成し、それぞれの切り口で「AIと共存する未来」について考えを深めていました。先生の御講演や先生との議論により、生徒たちは新たな視点や、議論することの楽しさに気が付き、今までにない刺激をいただきました。今後、様々なことを見聞きし、それに対する考えを深める際の姿勢にも大きな影響受けたことと思います。

生徒の感想

※一部を紹介します。

〇 事前学習や天児先生の御講演も含め、他者からの意見を聴き、自分の中でAIの問題がこれまでより浮き彫りになってきました。職業の代替やAIの悪用など目で見える課題だけではなく、人間の知能低下など目では見えない課題の存在も認識できました。また、AIは感情を持てるのかというテーマでは、AIの情報のインプットや人間自身が言語化可能なことなのかという様々な意見によって、普段得がたい深い思考を得ることができました。さらにこのテーマについて調べてみたいと思いました。今後も意識に持っておきたいのは「AIは人間によって制御される」ことです。あくまでAIは人間が選び取った情報をインプットしているだけなので「AIが影響を与える」イメージよりも「AIを使って人間が影響を与える」というイメージの方が適切だと気づきました。現状、とても発達した技術のAIに人間の精神・社会が追いついていないとも思いました。今後はAIの課題の積極的な吟味が急務となると思います。天児先生のお話を通じて、AIへの新たな視点や考えを得られたので、とても貴重なワークショップでした。ありがとうございました。

〇  改めてAIは自分たちの生活に深く入り込んでいると実感した。しかし天児先生の話から、人類は昔から便利なものを作り出しては、その負の側面にも悩まされ続けてきたのだと考えた。そして、その負の側面の解決のためにより便利なものが開発される、そんな歴史の繰り返しこそが、人類史の本質なのではないかと思った。これからも人間はAIの進化の正と負の側面を吟味し、社会をよりよいものにするために、ある意味で対話を続けていかなければならないと感じた。

〇 AIと共存する方法という、まだ先の見えない問いについて議論できたことがよかったです。議論の中で先生の御専門である現代中国の政治においても、情報統制とAIの関わり方などがあることを指摘されていたのが興味深かったです。また、レポートの作り方で、現状の課題を明らかにしていく過程でもその問題の重層性を意識することが重要だ、という先生のご指摘は大変参考になりました。私のレポートのテーマだった法規制について言えば、西洋で成立した近代法の体系とデジタル時代の社会の仕組みとが不整合だという点をもっと深掘りすればよかったと思いました。また、自分のレポートの内容と関連づけて質問をすればよかったと思います。意欲的に議論に参加することを頑張りたいです。

NSⅠ・NSⅡ 第2回合同ワークショップ

6月29日(土)、岡山大学の石野宏和先生をお招きし、高校2年生・3年生を対象としたナチュラルサイエンスⅠ・Ⅱ合同ワークショップを行いました。

石野先生には、研究テーマの一つである宇宙マイクロ波背景放射についての研究や、物質の最小単位である素粒子と壮大な宇宙が深く関係していることなどをお話しいただきました。

生徒たちは事前学習を経てワークショップに臨み、石野先生のお話に熱心に耳を傾けていました。
また、講演後には積極的に質問をし、宇宙や素粒子に関する理解・興味を深めることができました。

最後に、生徒の感想を紹介します。(一部抜粋)

【生徒の感想】

宇宙背景放射から読み取れる密度の偏りこそが今の銀河の種だったという話しから、きっと昔少しでも密度の偏りが違えば今私たちは居ないだろうなと思うと同時に、いま観測できるような密度の偏りが出来たのは絶対きちんと理由があって論理的に説明できるはずだから、その法則や重力波などの影響を解き明かし、昔何があったのかを知ることに興味を持った。素粒子というとても小さなものと宇宙というとても大きなものが密接に関わり合う本当に面白い分野だと改めて感じた。

今回のワークショップでは、物質を限界まで小さくした素粒子の話と、一番大きい宇宙の話で、自分が想像していたスケールとはたいへん異なってとても驚いた。また、そんな小さいものと大きいものが密接に関係していることに驚いた。宇宙に関しても素粒子に関してもまだまだ解明されていないことが多そうなので、今後どのようにして新しい発見が生み出されていくのかが非常に楽しみになるような講演だった。

素粒子というものはこの世の中でこれ以上分割できないもので、1 fm以下の自分たちには想像もできないパイオニアの世界を探求することによって、ビッグバンがどのようにして起こったのかを解き明かすことができるということに、素粒子の研究する意義を感じました。電磁気力、弱い力、強い力の3つの力は一つになるのではないかという大統一理論に、ビッグバンを解明できるのではないかということに、ロマンを感じました。

非常に小さなものを突き詰めていくことで宇宙の根源にせまることができるということにとても興味を持った。普段の巨視的な視点からは想像もつかないような不思議な世界だが、人生をかけて探究していきたいと感じた。

「メディカルサイエンスⅡ」第2回ワークショップ

 高校3年次生対象のメディカルサイエンスⅡ(MSⅡ)第2回ワークショップを6月29日(土)に行いました。

 岡山大学生殖補助医療センターから田崎 秀尚先生をお迎えして、生殖医療に関する講話と実習を指導していただきました。 参加した生徒たちは、将来、医療従事者を目指す生徒たちでしたので、熱心に話を聞き、実習では擬似卵を使った生殖医療の技術を体験しました。

  不妊治療についての知識や、関わる方々の責任の大きさ、卵を扱う技術の難しさなど、生徒たちはこのような経験を、将来の進路に活かして欲しいと思います。

最後に生徒の感想を紹介します。(一部抜粋)

【生徒の感想】

はじめのクイズの正答率のグラフから、日本は他の先進国に比べて性教育が十分に行われていないのだなと思いました。正しい知識を持っている人が少ないことによって、不妊治療を行う年齢が高くなるのだと分かりました。実際に使う器具も初めて見て、使ってみると色々なところにぶつけてしまって、卵を1つ移動させるのに時間がかかりました。顕微鏡で見ながら卵を移動させたり、凍結する用の器具に乗せたりするのが難しいなと思いました。今回のワークショップでは、私たちが知っておく必要があることをたくさん学べる貴重な機会となりました。

不妊症は特に先進国間で広がっていて、日本では5.5組に1組の夫婦が不妊に悩んでいるということが分かりました。また、不妊の原因は男女ともに遺伝の他にもストレスや性病、喫煙、飲酒、食生活などが原因となっていることが分かり、これらの生活観を変えていくことも不妊改善につながると思いました。また、性教育についての改善や身体についての問題を話すことをグレー視する価値観の改善も効果的だと思いました。

日本の不妊率の高さに驚きました。卵の保存は、年齢を理由に子供を諦めることを防ぐ良い方法と思っていましたが、染色体異常のような問題があることを知りました。日本人は妊孕性の知識に欠ける部分があることを実感したり、精子や卵について動画を見たりして、学校で習うよりさらに深く胚培養における実践的なことを学べたのが嬉しかったです。胚培養はとても専門的な技術だと感じました。