6月29日(土)、本校の卒業生でもある早稲田大学 名誉教授 天児慧先生にご協力いただき、学校設定科目ソーシャル サイエンスⅠのオンラインによるワークショップを開催しました。
生徒たちは、天児先生からいただいた「AIと共存する未来社会について考える」というタイトルで事前にレポートを作成し、それぞれの切り口で「AIと共存する未来」について考えを深めていました。先生の御講演や先生との議論により、生徒たちは新たな視点や、議論することの楽しさに気が付き、今までにない刺激をいただきました。今後、様々なことを見聞きし、それに対する考えを深める際の姿勢にも大きな影響受けたことと思います。
生徒の感想
※一部を紹介します。
〇 事前学習や天児先生の御講演も含め、他者からの意見を聴き、自分の中でAIの問題がこれまでより浮き彫りになってきました。職業の代替やAIの悪用など目で見える課題だけではなく、人間の知能低下など目では見えない課題の存在も認識できました。また、AIは感情を持てるのかというテーマでは、AIの情報のインプットや人間自身が言語化可能なことなのかという様々な意見によって、普段得がたい深い思考を得ることができました。さらにこのテーマについて調べてみたいと思いました。今後も意識に持っておきたいのは「AIは人間によって制御される」ことです。あくまでAIは人間が選び取った情報をインプットしているだけなので「AIが影響を与える」イメージよりも「AIを使って人間が影響を与える」というイメージの方が適切だと気づきました。現状、とても発達した技術のAIに人間の精神・社会が追いついていないとも思いました。今後はAIの課題の積極的な吟味が急務となると思います。天児先生のお話を通じて、AIへの新たな視点や考えを得られたので、とても貴重なワークショップでした。ありがとうございました。
〇 改めてAIは自分たちの生活に深く入り込んでいると実感した。しかし天児先生の話から、人類は昔から便利なものを作り出しては、その負の側面にも悩まされ続けてきたのだと考えた。そして、その負の側面の解決のためにより便利なものが開発される、そんな歴史の繰り返しこそが、人類史の本質なのではないかと思った。これからも人間はAIの進化の正と負の側面を吟味し、社会をよりよいものにするために、ある意味で対話を続けていかなければならないと感じた。
〇 AIと共存する方法という、まだ先の見えない問いについて議論できたことがよかったです。議論の中で先生の御専門である現代中国の政治においても、情報統制とAIの関わり方などがあることを指摘されていたのが興味深かったです。また、レポートの作り方で、現状の課題を明らかにしていく過程でもその問題の重層性を意識することが重要だ、という先生のご指摘は大変参考になりました。私のレポートのテーマだった法規制について言えば、西洋で成立した近代法の体系とデジタル時代の社会の仕組みとが不整合だという点をもっと深掘りすればよかったと思いました。また、自分のレポートの内容と関連づけて質問をすればよかったと思います。意欲的に議論に参加することを頑張りたいです。