【理数科】SSH地球環境研修

 SSH地球環境研修(1年次生理数科対象)を11月16日(土)に行いました。

 本年度も鳥取大学農学部フィールドサイエンスセンター「蒜山の森」で研修を行いました。本年度は天候に恵まれ、鳥取大学の演習林での研修が実施できました。

 午前中の研修では、一般財団法人日本菌蕈研究所、主任研究員、牛島秀爾先生の指導の下、演習林の植生の観察とキノコの採集を行いました。
演習林ではカエデやカラマツの紅葉が見ごろで美しい景色の中での散策が楽しめました。また、キノコの採集も順調でムキタケやスギヒラタケ、スッポンタケなどの多くのキノコが採集できました。昼食には、採集した「森のフカヒレ」とも呼ばれるムキタケの美味しい吸い物を研修センターの方が調理してくださいました。新鮮で、暖かく美味しいお吸い物を堪能して生徒は喜んでいました。

午後は、牛島先生による菌類の講義を聞き、屋内でキノコの培養実習を行いました。
培養実習ではエリンギやマイタケ、シイタケやムキタケなどを培養プレートに殖菌し、持ち帰ることができるように行いました。牛島先生による丁寧な説明もあり、生徒は好奇心旺盛に取り組んでいました。

研修の最後に、生徒は班別にわかれて研修の成果をまとめました。そして班の代表者が発表し、本日の成果を全員で共有しました。特に日常的には気にもとめなかった、菌類などの分解者が地球環境の保全に果たす役割を実感できたことに生徒は意義を見出していました。

〈生徒感想(一部抜粋)〉

〇 研修で本当にたくさんのキノコを見た。一生分のキノコを見た気がする。演習林に実際に入ってキノコを見たことで、木に生えるもの、地面から生えるもの、木を腐らせてしまうものなどキノコにも様々な種類があることを身を持って感じることができた。ロクショウグサレキンなど、見た目から名前をつけているものもあるんだなと感じた。わかっているもので3000種と聞き、そんなにキノコに種類があるのかと驚いていると、実際は2〜3倍あるのではとおっしゃっていて、キノコの多様さ、まだあまり解明されていないということを感じた。培養実験では、実際に演習林で採ったチャナメツムタケを培養した。どんなふうに菌糸が生えてくるのか楽しみ。お昼にいただいた、ムキタケのお吸い物も美味しかった。

〇 今回の研修の、フィールドワークからはいつもは深く考えない樹木やキノコについて、また、菌類とキノコの森林内での、死んだ樹木の分解。キノコがなければ新しい植物が生えない(木材腐朽菌)。生きた植物と栄養を交換、補完する(共生菌)。などの働きを知ることができた。特に面白いと思ったのはロクショウグサレキンが倒木から生え、木材を青く染めたものを人々が家具に利用しているということだった。他にもタイヤの分解にも使えるなど、食用以外にも使えるというのに衝撃を受けた。分離培養の体験では、講習を受けたことで原理もわかりうまくできたと思う。成長したのを見るのが楽しみ。しかしあそこまで他の菌が入らないようにしないといけないなんて、意外と弱いのだなと考えた。

〇 今回地球環境研修を受けてみて多くの学びと発見があった。山道では、想像をはるかに超えるたくさんのキノコが生えており、先生の説明も交えながらキノコや木について、また境を目立たせる工夫についてなど初めて知ったことがたくさんあり夢中になってキノコ探しをすることが出来た。特に自分でキノコを見つけたときは達成感がとてもあり、またそのキノコについて教えてもらった際にはキノコの深さについて知ることが出来、とてもためになった。また、キノコについての知識では、キノコには腐生菌、寄生菌、共生菌の3つがあり、それぞれ工夫をしながら植物や動物と生きていることがわかった。私達にとっては毒キノコでありとても有害であるものも、自然界では重要な役割を担っていたり、キノコでも抗がん剤に使われていたりしていることを知り、自然界には何一つとしてかけていいものはなく、とても大事なものだということもわかった。いま、自然の破壊が問題視されているが今回学んだことを広め、改めて自然の破壊についてよく考え、解決策を出せるような人になりたいと思った。