メディカルサイエンスⅠ(MSⅠ)第3回ワークショップ

10月11日(土)に、ピースウィンズ・ジャパンの稲葉基高先生(本校理数科卒)をお迎えし、メディカルサイエンスⅠの第3回ワークショップを行いました。

稲葉先生は、ピースウィンズ・ジャパンのプロジェクトの一つである「空飛ぶ搜索医療団ARROWS」で医師として、災害緊急医療支援を行っていらっしゃいます。ワークショップでは、東日本大震災やミャンマー地震など、多くの支援活動を紹介しながら、災害支援活動を行う医師としての経験を伝えてくださいました。また、高校時代から現在まで悩んだことや学んだことなどの先生の経験を伝えてくださいました。生徒は、人生を進んでいくうえでのヒントとともに活力を得ることができたはずです。

最後に、聴講した生徒の感想を一部紹介します。

・今回の講演から医療従事者には柔軟な思考が必要だと感じました。導入で医療人や医学生はどうしても自身の中にある専門的な常識で物事を判断するので、患者にとっての日常や常識とは異なるのだと知りました。これは稲葉先生のお父さんが緊急搬送されたとき医師たちと患者の親族との差を実感したというお話から得たものです。この稲葉先生の経験は私達にとって非常に衝撃的なもので医療人を目指す身として、そして診てもらう身としても考えさせられるものでした。柔軟な思考とはまた別かもしれませんが患者の立場から考える必要があると思いました。長い勉強の道のりで何を念頭に置いていたか尋ねると、稲葉先生はとにかく目の前のことをやり遂げていたとおっしゃいました。一つ一つ目前のゴールに向かう姿勢はたいへん素晴らしく思い今後、私もまずは眼の前の課題に向かって進みたいと思います。悩むよりも挑戦することを心がけたいです。今回はよりグローバルかつ先進的な医療の講演でした。医療の生き生きとした面や厳しい面を知り、医療への理解をまた一つ深めることができました。医療の分野や選択を広げられた良い機会でした。ありがとうございました。

・専門性の高さはその分野の解像度を上げることができるが、一方で視野が狭くなっていくことも頭に置いておかなければならないということを知りました。授業で習うような知識や技術だけでは、実際の現場で行動することができず、常に予想外のことに対応する柔軟性の重要性を改めて知りました。被災地に赴いて支援を行う際には、被災者のことだけではなく支援者である自分たちのことについて考えることも大切だと知り、意外な視点で驚きました。医師が絶対的であるというパターナリズムが批判され、当事者が自分自身で決定する考え方が主要な今日ですが、その選択には実際になってみないとわからない大きなストレスと後悔を伴うのだと知りました。人の命を終わらせる手段を取る立場になったら自分はどのように考えるのかも想像がつきません。だからこそその場に立ち会わせる人になるためには相当の覚悟が必要なのだと気付かされました。お金がないから病院にいかない海外の人の話を聞いて、誰もが持っている医療を受ける権利が十分に守り切れていないのだと知り、どんな人にも医療が身近になって親しみやすいものになったらいいのにと思いました。