令和6年度 東京研修(8/6~8/8)【2日目】

〈2日目〉

 2日目は東京大学浅野キャンパスにある地震研究所を訪問させていただきました。宮本成悟先生と西山竜一先生に素粒子物理学や最新のミューオンなどを用いた地震研究の手法についてわかりやすく説明していただきました。講義後の質疑応答では武多昭道先生にも生徒の質問に答えていただき、さらに理解を深めることができました。

【生徒の感想より】

  • ミューオンが通ったフィルムを見てもこの線が通った跡だとわかるくらいで、これを用いてどうしたら山の様子が分かるのだろうと不思議でしたが、重力の測定とミュオグラフィを組み合わせて3次元的に捉えることが今までに例がなく、画期的な発想であることだけは感じました。ミューオンが自然のものであることが、高エネルギーのミューオンを人工でつくりにくく、自由に調べるのが難しい原因だと分かりました。重力の測定に香取先生が研究されている光格子時計を使えたらというお話が出てきたときは新たな光格子時計の用途が生まれたと思いとてもワクワクしました。現在は可搬型ではあるもののまだ山に持ち運べるほどではないので進化に大いに期待したいです。また、ミューオンとニュートリノを用いて調べられる規模の中間を埋める物質の発見も楽しみです。
  • 地震や火山を研究している中で、ミューオンやニュートリノなどの素粒子に着目して研究にアプローチしているのがとても興味深かった。素粒子の透過力を用いて、立体的に火山の構造を調べるという方法はレントゲンなどの日常的発想に近いものから着想を得ていて、研究をするうえで自分が調べたい分野だけでなく他の分野からの取り組みも大切だと感じた。また過去の地震計を見せていただいたときには、アナログ的なものもあるが理にかなっているものが多く、その中で鉛筆の芯がなくなるのを防ぐために「スス書き式」にしてみたりと研究の中での課題を独自の方法で解決していて、研究には様々な知識や柔軟性が必要だと感じた。

 そして、午後からは駒場キャンパスⅡに移動し、大学院総合文化研究科の上野和紀先生による研究説明・施設紹介をしていただきました。超電導現象の実験を実際に見せていただきながら、大学院に進んだ際の博士課程や修士課程の仕組みについても説明をしていただき、生徒にとって大変有意義な時間となりました。

【生徒の感想より】

  • ヘリウム3が軍縮のせいで手に入らなくなっていると聞いて驚いた。研究にお金がいることは知っていたが、お金があっても手に入らないものもあるのだとわかった。研究職だけでなくその材料や生産、確保する人の方も注目すべきだと思った。機材や施設を実際に見させてもらえ、これまでの研究で一番イメージができた。また、見学している間も機械が自動で数値測定をしていると聞き、起動させたまま研修のために研究室をあとにしたのを見て、私達が大人になる頃には研究者は実験方法などを考えたり実験を注視しなくて良くなるのではないかと考えた。
  • 上野先生の研修では、物性物理学といわれている高尚な内容の研究について学ぶことができた。博士課程になるためには新しいものを発見しないとなれないと言われていて、博士になる難しさを身をもって知った。超伝導ダンスや地球儀の実験では、今まで見たことのない光景に心が踊った。

 2日目最後は、駒場オープンラボ内にある株式会社PhotoQ3の浜窪隆雄先生の研究室を訪問させていただきました。浜窪先生は細胞レベルでの構造分析や分子相互作用変化を解析することにより、がんや重症感染症などの新しい創薬を研究されています。浜窪先生から研究概要について教えていただいた後、実際に研究室を見学させていただき、研究員の方との交流も行いました。

【生徒の感想より】

  • 自分の事前研修の担当だったのである程度行っている研究については知ることが出来ていたが、行っている研究を実際に聞いていくと、なぜ光と抗体と毒を使うという発想に至ったのか、なぜ赤色のレーザーを使うのか、サポリン以外の毒性を持つ物質はないのか、なぜサポリンを使うのかなど、事前研修では分からなかったことを聞くことが出来た。iTAP法の完成にはまだ時間がかかるが、完成すればどのレベルのがんでも通用すると予想されることがわかり、今の医療ではできないことを可能にする可能性があることが分かった。バイオシス・テクノロジーズ社とPhotoQ3社の実験室を見学させて貰ったが、使われてる機器の多さや機能、値段に驚いた。
  • ベンチャー企業という最先端な考え方の企業について詳しく知ることができた。死の谷とダーウィンの海という苦難があることがわかった。ポルフィリンやヘムなどのある構造のときに光感受性色素は自ら発光せず、自分の色以外を吸収することがわかった。ラボではバイオマーカーを測定するのに、例えば肺をトリプシンで小さくしてペプチドサイズにし、それをプレパラートの上において見ることを知った。そのプレパラートには特別なケミカル処理がされており、それについて質問すると、企業秘密なことだといわれてしまったが、レーザーを当てると一瞬で蒸発するものと言われた。難しくて全くわからなかったが鋭い質問だといわれて嬉しかった。部屋にある機械には一億円もするものが沢山あり本当に驚いた。