理数科2年次生「先端科学研修」ニュースバル,SPring-8,SACLA訪問してきました

7/27(木)に理数科2年次生は,兵庫県播磨科学公園都市にある,世界最先端の研究施設であるニュースバル,SPring-8,SACLAの3施設を見学しました。 この3つの施設は,「放射光」という光を使って物質を原子レベルで分析することのできる巨大な施設で,特にSPring-8,SACLAは世界トップクラスの性能を誇ります。

① ニュースバル(兵庫県立大学高度産業科学技術研究所)

極端紫外光から軟X線領域の放射光を用い,さまざまなナノテクノロジー開発を行っている施設を見学しました。研究員の方から施設や研究内容の説明を受けた後,蓄積リングのあるビームライン内を見学させていただきました。研究員の方には,施設のことや研究内容のことなどについて生徒からの質問に答えていただきました。現在2年次生は課題研究に取り組んでいる最中であり,研究員の方のお話はきっと大いに参考になったことでしょう。

SPring-8SACLA

 SPring-8は円形加速器から発生する放射光を利用する大型実験施設であり,SACLAは世界でも数少ないX線自由電子レーザーを発生することができる施設です。

 SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)とSPring-8(Super Photon Ring 8GeV)の概要について説明を受け,SACLA とSPring-8の見学を行いました。  

世界最先端の施設のため,外国から実験に来られている方も多くいるようです。今年も,実際にこちらで研究を行っている本校卒業生の登野先生から,施設や研究についての説明をしていただきました。本当にありがたいことです。このような世界最先端の施設が日本にあること,そこで津山高校の先輩が働いていることについて,理数科生徒は大変誇らしく感じたと思います。

〈生徒の感想(抜粋)〉

・沢山の人が施設内で研究などしていて、想像していた雰囲気と違って驚いた。世界でも最高峰の技術ということもあり水素自動車や、宇宙研究、人工光合成など様々な現在の産業や研究の最先端に関わっていると知り、SPring-8やSACLAがそういった研究や開発を支えているのだと実感し、そのような施設を実際に見学することができたことはとても貴重な体験となった。また、講演もOBの方のリアルな研究職や研究の話を聞き、将来設計がより固められた。

・例えばクモの糸で作った服、人工光合成、小惑星イトカワの砂の解析というように、よく聞く身近なものが実は全部SPring-8とつながっていたんだと本当に驚いた。ニュースではこんなことが分かったという結果は伝えるけれど、こんなものを使ってこういうふうに調べたという過程はあまり伝えない。あるいは私自身が過程というものを気にしてこなかったのかもしれない。私は、はやぶさ2の事業にも人工光合成にもクモの糸にもすごく興味があったにも関わらず、今までSACLAはおろかSPring-8のことも全く知らなかった。改めて考えると、SPring-8やSACLAは、研究したことがすぐにそのまま日常生活に応用されている実は珍しいパターンなのかもしれない。大学だけでなく企業が多く利用しているからだろうか、実践的な研究がされている印象が強かった。

・事前学習のときにSPring-8やSACLAの大きさは聞いていましたが実際に見ると想像を超えるほど大きかったことや、SPring-8の中を自転車で移動していることなどとても驚くことがたくさんありました。私たちには到底計り知れないような小さな世界を見ることができるのはとても興味深く、どのようになっているのかとても気になりました。こんなに近くで最先端の研究が行われていることにはとても驚いたし、実際に自分の目で見たりお話を聞いたりすることができたのは、とても貴重な体験になりとても面白かったです。本当にここで未来が創造されているように感じました。私も将来は研究職に就きたいと考えているので、楽しみながら人のためになるような研究をしたいなと強く思いました。

・軟X線についてよく知らなかったが、レントゲン検査のようなX線のような透過能力のないものだと理解することができた。空気がX線の進行の障害になることから、アルミホイルを巻いて真空状態を作っているなど、施設の中に様々な工夫が見られて面白かった。放射光のビームラインの100メートルという長さも、計算されているものだと知り、SPring-8やSACRAとは違った使い方をすることを知ることができた。半導体技術の基盤を作ったのはすごいと思った。

・優秀な研究者が日本からいなくなってしまうのは日本という国家にとっても、日本国民にとっても損であるからもちろん避けるべきことであるが、一方で状況によってはそう選択せざるを得ない人もいると知り、複雑な気持ちである。将来研究者を目指したいと思っていた自分にとって、実際に研究者の側面を知ることができ、あらためて進路について考えるよい機会となった。 ニュースバル内部でリアルタイムで働いていらっしゃる方は想像よりも少なかった。レーストラック型のリングも安定して稼働しているとお聞きした。人の手があまり介入することなく作業が進んでいることを知り、興味深く感じた。半導体の加工は日常生活では使わないような単位ばかりで実感がわかないほど繊細だったが、その実感のわかないような加工技術に生活が支えられていると思うと、産業と研究が密接に関わり合っているということを改めて感じた。これほどの技術を持つ日本はもっと世界で評価されてほしいし、それ以上に日本に住んでいる人にも知ってほしいと感じた。