「SSH遺伝子実習セミナー」を行いました

7 月22日(火)に3年生普通科・理数科生物選択者対象に津山高校SSH遺伝子実習セミナーを行いました。

岡山大学環境生命自然科学研究科の阿保 達彦 教授、御輿 真穂 准教授に来校していただき、「遺伝子発現制御実験:大腸菌ラクトースオペロンを例に」という内容で講座を実施しました。

午前中に実験の概要説明を受け、本日の実験の準備を行いました。まず、大腸菌の培養です。オートピペッターで野生株や変異株の大腸菌培養液を培地に加えました。そして、振盪培養装置にセットして培養を開始しました。

大腸菌培養のために時間をあけて、午後から目的の実験を行いました。各培養液で酵素反応を行わせると、野生株と変異株で反応液の色の違いが観察できました。その実験結果から変異株の遺伝子型を推測する考察を行いました。

教科書で得た知識だけでなく、実際に実験することでラクトースオペロンの仕組みを深く理解できたようでした。

培養の待ち時間には、御輿先生から、ツメガエルなどの実験動物に関する研究の講義も受けることができました。今回の講義は、教科書で習った実験を自分の目で確かめることや、大学研究内容にふれる機会となる貴重な時間となりました。阿保先生、御輿先生には熱意ある講義を実施していただきありがとうございました。

【生徒の感想より】

〇 異なる波長の2つの光を当てる理由は、大腸菌で拡散される分の光を求めるためというのが興味深かったです。また、大腸菌を培養するときに試験管を45度に傾けるのは、大腸菌は通性好気性細菌で空気が混ざりやすくするためというが面白かったです。実験では、こういう細かいところに気をつけたり、実験の齟齬を指摘されないよう、対照実験をする必要があるのだとわかりました。また、 進路のお話では、 偶然巡り合ったことが人生を変えることもあるのだとわかり、視野を広く持とうと思いました。

〇 高校生物の授業で学んだことも、学んでこなかったことも今回のセミナーではたくさん入ってきていて本当に面白かったです。今まで触れたことのない実験器具を見たり使ったりすることができて大学に進学したらこのような器具を使って自分が興味のある分野についてたくさん研究できるのかと思うと受験勉強へのやる気が湧いてきました。また、大腸菌を培養するときだけでもどうしてピペットマンにチップをつけるのか、試験管を45度以上に傾けた状態で培養するのはなぜなのか、37度で培養するのはなぜなのかなど、たくさんの疑問に答えてくださる授業で、そうだったのか!と驚く場面も多く、とても楽しく面白い授業でした。私達に授業をしてくださり、ありがとうございました。

〇 ラクトースオペロンについて、自分も学習した時に生物経済学のような考え方で覚えていたので、やはり生物は無駄を最小限に抑えていると再認識し、そういった点で生物は美しいなと思いました。また、分光光度計を用いた実験から分かることが予想よりも多くて、このような実験機構を考えつく人は凄いなと思いながら実験できて楽しかったです。対照実験の重要性についてのお話では、今回の実験から考えられるその他の指摘が例に挙げられていましたが、第三者から見てもその考察が正しいと言える根拠を集めるのは大変だろうなと思いました。大学生になってからも有益な研究のお話が聞けたことや、教科書で学んだことを自分の目で確かめることはとても有意義な時間でした。ありがとうございました。