11月30日(土)にソーシャルサイエンスⅠ(高校2年次生対象)の第4回ワークショップを行いました。
今回のワークショップでは、東洋大学文学部教授である岩下哲典先生をお迎えして実施しました。生徒たちは、実際に「金海奇観」の巻物を手にし、それを見ながら解説をしていただきました。先生のご講演や議論により、教科書ではわからないような時代の背景や出来事に気が付いたり、生の資料を見ることの楽しさに気が付いたりするなど、今までにない刺激を受けることができました。
岩下先生、この度はお忙しいところ、ご講演いただきましてありがとうございました。
生徒の感想を一部紹介します。
〇 実際に絵巻を見ることで、教科書などで見るよりも鮮明に黒船来航の情景をイメージできた。墨で書いてあるにも関わらず、絵や字がとても繊細だった。金海奇観から、日本がオランダの影響を強く受けていたことが読み取れて面白かった。また、ペリーは日本の情報を得るのにシーボルトの著書を用いていて、その著書は生徒の論文から作っていたというエピソードがとても興味深かった。日本国外から見た日本文化の評価についても、現代の評価とは異なる部分が多くあって印象的だった。
〇 最初の質問対応を聞き、今後自分が江戸史を学ぶときは、江戸時代の日本人がオランダを通じて得たもの、オランダを通じてでも得られなかったものを気にしようと思いました。また、巻物はあんなに細い筆で見慣れない異文化のものを詳細に記録しているのがすごい仕事だと思いました。曲線が美しく描かれていると感じました。アメリカからの寄贈品が今は電信機しか残っていないというのは少し残念なことですが、それでもこの金海奇観から、西洋技術を積極的に受容しようとした当時の日本人の姿勢が伺えました。
〇 改めて大学で学ぶような答えのない問いを探究する楽しさを実感できました。実際の史料を元に新たな発見をする作業が私にとってかなり新鮮でした。ペリー来航の影響を政治や西洋技術、文化の受け入れなどの様々な視点からのアプローチで捉えられて面白かったです。実際の史料を見て知識を得たり考察する機会をさらに増やしたいと思えるきっかけになりました。
〇 ペリー来航前後のことには研究があまり進んでいないこともあって、ロマンがあるなと思った。交渉時に将軍が出てこなかったのは将軍の権威が高く江戸城から出てこないというのに納得させられた。金海奇観を実際に見て、絵がとても精巧でピストルは実物大に描かれているのを肌で感じられた。また、開国において津山藩の人々が関わっていて凄さを改めて実感した。