SSH地球環境研修

SSH地球環境研修(高校1年生理数科対象)を2023年11月18日(土)に行いました。

 前年までの数年間は新型コロナ感染症の影響もあり、地球環境研修はフィールドワークを行うことなく、学校内で講師を招いて行っていました。本年度は、数年ぶりに鳥取大学農学部フィールドサイエンスセンター「蒜山の森」で研修を行いました。あいにくの天候で雪となり、鳥取大学の演習林での研修は屋内の研修に変更となりましたが、キノコの培養研修など充実した研修となりました。

午前中の研修では、一般財団法人日本菌蕈研究所、主任研究員、牛島秀爾先生にキノコ(菌類)についての講義をいただきました。講義後生徒からは数十もの質問が出て、先生には熱心に答えていただきました。その後、演習林でのキノコ探索は雪のため実施できませんでしたが、屋内でキノコの培養実習を行いました。培養実習ではエリンギやマイタケ、シイタケやムキタケなどを培養プレートに殖菌し、持ち帰ることができるように行いました。急遽の代替実習でしたが、生徒は好奇心旺盛に取り組んでいました。

昼食には、センター周辺で採取されたムキタケをセンター職員の方が調理してくださり、お味噌汁で美味しくいただきました。寒さもあってか、新鮮なキノコの暖かい味噌汁は「美味しい!」という声が飛び交うほど好評でした。昼食休憩には生徒は屋外に出て、雪だるまづくりや雪合戦などを楽しんだり、この時期としては異例の積雪20cm以上もあろうかという雪景色を写真に収めたりしていました。

午後の研修では、センター職員の指導によるカッティングボード作りを行いました。ひのきの板材に思い思いのデザインを施し、熱心にカッティングボードを製作しました。とくに磨き上げ作業には1時間以上もかけて丁寧に作業をするなど、津山高校理数科生の集中力の高さを感じました。また、この作業を通じて自然の素材の良さと、環境保全の重要さに思いをはせる生徒もいました。

久しぶりの郊外における地球環境研修は、思わぬ天候に見舞われましたが、有意義で今後の学習につながる良い研修となりました。

【生徒感想】(一部抜粋)

◆  世界だけでなく日本にも多くの種類のキノコが存在していることは知っていたが、そのほとんどに名前がついていないことに純粋に驚いただけでなくキノコという研究分野の深さというものを感じた。また、それぞれのキノコの形もさることながら、生態の多様さに興味を覚えた。例えば椎茸やしめじなどとは違ってトリュフは臭いを発し動物に捕食されることが目的というのは聞いていてとても面白くトリュフの生態に興味がわいた。今回の研修で得られたものはそれだけではなく寒天培地の実習では寒天培地の手法は一つではないこととその方法を学ぶこともできた。このことを今後の科学部での活動に活かしていきたい。

◆  きのこについては今まで食卓で出るようなキノコのことしか知らなかったため、今回の研修できのこに関する知識がとても増えて充実した1日だった。牛島さんのお話の中でも発光するキノコがあることにとても驚いた。動物を惹きつけることで動物に胞子を運んでもらうというところで菌類ではあるが植物にとても似たところがあり生物の共通性を感じた。また以前学校で異なる分野でも組み合わせることである一つのことにつながるということを聞いたが、きのこが医療にも使われているということを聞き、それを改めて実感することができた。キノコの培養では菌糸の形が種類によって異なるということを学んだため顕微鏡で観察してみたいと思った。加えてキノコの移植は難しく市販のキノコはそれが行われているとうかがったため培養がうまくいったら自分でも挑戦してみたいと思った。

◆  きのこには様々な生き方があり腐生菌•木材腐朽菌、寄生菌、共生菌がある。菌糸はきのこ本体だということにとても驚いた。きのこは森にとって重要な存在であると学んだため、外来種のきのこなどはとても環境に影響を及ぼしているのではないかと思っていたが、そんなに及ぼしてないと聞き安心した。きのこの組織分離ではたった一かけらとっただけで大きなきのこができると聞いて生命力の強さが感じ取れた。様々なきのこでやったので実験の結果がとてもたのしみである。カッティングボードでは形づくりがとても大変だったけれど、上手に作れてとても達成感を感じた。