令和5年度 ライフサイエンス研修

理数科1年次が,8月2~3日に理数科ライフサイエンス研修を行いました。この研修は,福山大学生命工学部生物工学科と連携し,2日間で生物・化学分野に係る専門的な実験・実習・講義を行うものです。福山大学の秦野琢之名誉教授(本校卒業生),太田雅也教授の2名の先生方と,2名の大学院生の方にご指導いただき,充実した研修を行うことができました。

福山大学に到着後,まず秦野先生による「生命科学(ライフサイエンス)」についての講義を聴講しました。本校の校訓である「畏天敬人」の秦野先生自身による意味の解釈や,生命科学は人間生活における幅広い分野で関連があるなど,熱意のある講義をしていただきました。最初は緊張していた生徒達も,遺伝子組み換え技術の利用,福山大学のワインプロジェクトなど生命科学に関する深い内容にどんどん惹き込まれて,積極的に質問をするようになっていました。

午後からは実習です。太田先生に,定量法の基礎や吸光度計の使い方などを丁寧に指導していただき,ソモギー・ネルソン法による還元糖の検量線作成を行いました。基本的な実験器具の使い方や,正確に糖水溶液を作成する技術,糖量と吸光度の関係,検量線の作成に関して学習することができました。

2日目は,まず,グルコース水溶液とマルトース水溶液で,検量線に違いが出ることの考察を行いました。

次に、メインであるグリコーゲンの酸加水分解に関する実験です。それぞれのグリコーゲン水溶液を一定時間加水分解させ,比色定量を行いました。生徒は前日よりも実験操作が上達しており,集中して実験を行っていました。不思議な点や疑問点があればすぐに先生や大学院生に質問したり,グラフの形や数値の読み取り方などにもグループ内で議論し合う姿勢も見られるようになりました。

今回の研修では,2日間を通してじっくり実習を行うという貴重な経験ができました。普段の学校生活では,2日間を通して実習のことだけを考えることはありません。今回の研修で,大学の研究とは何なのか,実験結果からどのように考察を進めていくべきなのかなど,高度な内容の体験ができました。この経験を,10月から始まるテーマ別研究,2年次での課題研究に繋げて欲しいと思います。

生徒感想(抜粋)

・ とても面白く、興味深いものだったので生命科学は楽しいものだと感じた。また、なぜ吸光度は違う糖によって変化するのかを考えたとき今ある知識から答えを導けた瞬間「化学は面白い」と感じた。

・研修の中での実験ではあまり聞き馴染みのない言葉ばかり出て説明を1回で理解することが難しく、実験自体も同じ量を何度も量る作業が特にシビアでキツかった。また、秦野先生の講義からラオスでのラム酒造りによる新しい角度の挑戦は自分に挑戦することの大切さを再確認させてくれた。自分もいつまでも秦野先生のような心持ちを保っていけたらなと思う。

・高校ではできない貴重な実験ができてとても勉強となった。実験で気をつけることなども学ぶことができた。もっと色々な実験をしてみたくなった。

・普段使わないような器具の使い方を教えてもらい、それらに慣れることができたので、大変良い勉強になった。

・今回の研修では普段は使わないような溶液や実験器具を多く使用することができ、新たな知識が身につきました。ガスコンロとかは現代社会では見ることもあまりなくなっていますが、災害時などにはその知識が大切になることもあると思うので今回使用することができたのはとても良かったと思います。個人的にはピペットマンは現代社会でも活用できそうな形で、計量カップのかわりになったりしないのかなと思いました。まだ学校では習ってない範囲のことが多く出てきましたが、ヒントを元に自分たちで原理を考察できたことはこれからの自信にも繋がりました。こうやって化学の細部に迫っていくことで不思議を解決していくというのも悪くないなと思ったのでまたしてみたいと思いました。

・吸光度の実験の中で新しい実験器具の使い方だけでなく実験をより効率的に行う方法や安全な実験のやり方も学ぶことができた。吸光度の変化の理由をクラスメートと話し合い今回得た知識やヒントを活用し自分たちなりの回答を出すことができた。以前の研修の振り返りで考察する力が足りないと書いたが今回の研修で少し考察する力がついたと感じた。

・実験に対する向き合い方を改めて考えることができた。ただ出された課題をもうすでに結果を知っている状態でやることが実験なのではなく、何を目的としてするのかや、課題に対してどうアプローチしていくのかをしっかりと考え、実験から何がわかったのかを自分で考察することが実験をするということだと学んだ。内容はかなり難しく事前の資料を見たときは不安だったが、先生からのヒントを参考にグループや全体で共有したり、話し合いしたりしながら考えると、理解できるようになった。実験は思ったよりも注意しないといけないことが多く、正確にするのも難しかったが、これからの実験や課題研究にとても参考になる2日間だった。

・この研修を通して, 研究室での実験など様々な貴重な体験ができた。劇薬や危険物の薬品を使ったが、器具の使い方や薬品の取り扱い方などを気をつけないと大怪我に繋がっていくので、器具の使い方などはしっかり覚えてこれからも気をつけていこうと思った。講演を聞いて、目標を持つことの大切さがわかった。

・この研修を通じて成長出来た部分が多くあった。 それは、実験器具についてと結果や考察がより深くできるようになったことです。 実験器具については特にこまごめピペットしか詳しくは知らなかったけどメスピペットなど知らなかった器具について知ることが出来てよかった。また、安全ピペッターなど使い方が難しいものもあり上手く使いこなせたときには達成感があった。 結果や考察については習っていないことでもチームで考察をして,どうしてこうなっているのかとしっかりと考えることのできる体験が出来てよかった。自分たちが考察してから実験をして確かめる作業も新たな発見が出来てよかった。