令和2年度「理数科講演会」

 2月19日(金)に,岡山大学理学部長 教授 富岡 憲治 先生 をお招きし,理数科1・2年次生を対象に「時間生物学 体内時計の研究」というタイトルで講演していただきました。

 富岡先生の研究室では,行動の理解に時間軸を導入し,動物の行動がどのように時間的に制御されているのか,また,環境サイクルに時間的に調和した行動はどのような仕組みで制御されているのかを,遺伝子・分子・およびニューロンのレベルで理解することを目標としています。

 具体的な研究としては,コオロギ,ショウジョウバエ,シミなどの昆虫を用いて,概日時計の性質や,体内に複数ある時計がどのように協調して時間的秩序を作るのか,また体内時計を複数個持つ意味はどこにあるのか,などの問題に興味を持って進めています。

 講演内容は,活動リズムの記録方法の説明をはじめとして,ヒトの各種生理機能に見られるリズムのピーク時刻,時計遺伝子の存在,概日時計のリセット方法など,専門的な内容でしたが,資料を踏まえて丁寧に説明していただきました。

 生徒は,研究の大変さはもちろんですが,それを上回る新しいことを知ることの楽しさ・面白さを感じとったようです。理学部生物学科および研究者への関心を大いに高めただけでなく,将来の進路への指針(Vision)ともなったのではないかと思います。生徒には関心の高い内容であったため,富岡教授への質問も絶えませんでした。

 富岡先生は本校の卒業生(1974卒業,25期)であり,講演会場であった 旧本館 大講義室を,「私の高校時代,ここは職員室だった」と懐かしんでおられました。

 放課後にも,富岡先生との交流会を開催しました。普通科生徒や津山中学生も集まり,先生の気さくな人柄とも相まって,研究の魅力について詳しく語り合うことができました。

 まだ知らないことや新しい知識について,どんどん質問していく姿勢(Research Mind)は,津山高校のSSHで育みたい三要素(VGR)の1つです。このような取り組みを通じて,津山高校生は成長していきます。

<生徒の感想>

・今まで受けた講演会の中で,最も面白かった。時間生物学に関する興味が湧いた。

・講演後に質問に答えていただき,うれしかったです。

・研究の楽しさ,発見の喜びがひしひしと伝わってきました。研究者という職業がどんなに楽しくて大変かは知らないけれど,いつでも情熱を大切にしたいと思いました。

・いくつかの段階を踏んで,それらを組み合わせて結論を導き出そうとする過程が理系という感じがして,生涯を通しての研究することも楽しそうだと思った。様々な挫折を経験されてきたと思うけど,それでも研究し続ける忍耐力を見習いたい。

・ヒトの体内時計が,握力や50m走,足し算する力や記憶力にも影響するということが興味深かった。

・細菌にも体内時計があることに驚いた。体内時計は本能的なものと思っていたけど,ちゃんと遺伝子が関わったりして,きちんと科学的に証明できることがわかった。

・以前にも体内時計の講演を聞いたことがあり,興味を持っていたので,今回の詳しい部分や具体的な研究内容を見て,とても胸が躍りました。

・富岡先生のように,1つのことに興味を持ち続け,研究し続けられる大人になりたいと思いました。