令和7年度 東京研修(8/4~8/6)

 8月4日~6日に、東京大学や国立科学博物館で最先端の自然科学研究に触れる「SSH東京研修」が実施され、1年生20名が参加しました。

〈1日目〉

初日は、東京大学浅野キャンパスにある工学系研究科の香取秀俊先生の研究室を訪問させていただきました。香取先生はセシウム原子時計を100倍以上凌駕する18桁の精度「光格子時計」の研究をされています。さらにそれを利用した応用技術の開発に取り組まれています。

 研究室見学では、香取研究室に所属している本校卒業生の竹内亮人さんも参加してくださり、ふりこの実験を通して時計の精度のイメージを教えてくれました。

【生徒の感想より】

・一番興味があった研修で、事前学習もしたのでよく理解することができました。やはり、他国に張り合える研究を自分で切り開くのは大事なことなのだと理解できました。

・研究室をのぞかせてもらったとき、細かくて精密な部品の数々で光格子時計が作られているのが分かって、研究のときには気をつけなければならないと知ることができました。

・研究室にあった実験装置をすべて手作業で組み立てていることにびっくりした。光格子時計の技術が火山噴火の予測などに応用できそうなことを知って、分野を超えて、技術が活躍することを知れて、広い視野を持つことが大切だと思った。他者から無理だと言われていても、数十年研究を続けるという粘り強さがすごいと思った。


〈2日目〉

2日目は駒場オープンラボ内にある株式会社PhotoQ3の浜窪隆雄先生の研究室を訪問させていただきました。浜窪先生は細胞レベルでの構造分析や分子相互作用変化を解析することにより、がんや重症感染症などの新しい創薬を研究されています。浜窪先生から研究概要について教えていただいた後、実際に研究室を見学させていただき、研究員の方との交流も行いました。

【生徒の感想より】

・発明と発見の違いを始めて真剣に考えて新鮮だった。いくら画期的な方法でもそれを使える範囲は限られていると知った。また、医療の発明では導入するにはそれに関する技術のある医者が必要だとわかった。

・本物のがん細胞を顕微鏡で見たり、研究室のクリーンルームを見えたりしてすごく楽しかった。iTAP法は従来のがん治療に比べて副作用が少ないのに高い効果が期待できて、実際に使われるようになったらたくさんの命を救える技術だろうなと思った。サポリンのもとの植物は日本にも生えていることを知って、身近なものに目を向けることの大切さがわかった。


午後は東京大学浅野キャンパスにある地震研究所を訪問させていただきました。武多昭道先生に素粒子物理学や最新のミューオンなどを用いた地震研究の手法についてわかりやすく説明していただきました。講義後の質疑応答では事前に学習していたことや当日の講義で湧き出た生徒の質問に答えていただき、さらに理解を深めることができました。

【生徒の感想より】

・古典研究からかに星雲がいつ起こったのかを発見したことから、すべての学問はつながっているという話に強く共感した。そのため普段の生活の中でもいろいろなことに興味をもって生活していこうと思った。また、先生は紙とペンだけの研究は良くないとおっしゃっていて、実際にやってみることが大切だと感じた。また、スーパーマンが一人で科学を進めているわけではなく、無名の科学者たちが頑張って進化させているという話を聞いて、自分のような特別な人間でなくても科学の進化の一つのピースにでもなれたら嬉しいなと思った。

・ニュートリノなど宇宙線はすごい量がずっと私たちの体を通り抜けている身近な存在なのに、存在すら知らなかったので、世界にはまだまだ知らないことがたくさんあることに改めて気づけて、分野関係なく色々なことを学んでいきたいと思った。宇宙線を利用して地球の内部構造を解明しようなんて考えが思いつく発想力がとてもすごいなと思った。


〈3日目〉

 最終日の3日目は上野にある国立科学博物館で研修を行いました。自然科学に関する膨大な展示を実際に見学しながら、歴史的な経緯や現在の研究の様子について学びました。


【3日間を通して生徒の感想より】

・普通に生活していたら、まず立ち入ることのできない研究室に入ったり、貴重な話を聞けたりしてとても刺激的な研修だった。先生方に共通しているなと思った何事もやってみよう、無理だと言われてもやらないとわからない、と言ったような探究心や粘り強さを私も持って、これからの課題研究などに取り組んでいきたい。将来、研究をして、まだわからない未知なことを解明していきたいという思いがこの研修を通じて強くなった。

・今まで知らなかったことを沢山知ることができてとてもいい経験になった。複雑な内容が多かったから今後もしっかり勉強して今回の研修の記録を見返した時により理解を深められるように頑張りたいと思った。また、今まで話したことがなかった人とも今回の研修を通してたくさん話すことができて良かった。