「メディカルサイエンスⅠ」第3回ワークショップ

10月7日(土)のピースウィンズジャパンの稲葉基高先生(本校理数科卒)をお迎えして、メディカルサイエンスⅠの第3回ワークショップを行いました。

 本校在学中のエピソードや外科医(救急外科)として働かれた経験、そして西日本豪雨やウクライナなど国内外への医療支援や災害医療に関わってこられた経験を生徒に語っていただきました。
豊富な経験をもとに語られる内容から、医療従事者としてのやりがいや生き方を感じることができ、医師やその他の医療従事者を目指す生徒にとって自分の生き方、働き方を考えるうえで貴重な授業となりました。

講演を聴講した生徒の感想からは、将来への医療従事者への思いを強くしたというものが多く見受けられ、大変有意義な授業であったことがうかがえました。


【生徒感想抜粋】

◆ 今回、私はこの講演をとても楽しみにしていました。稲葉先生のことは何度かテレビで見かけたことがあったし、西日本豪雨では指揮をとられたなど本当にすごい方で、そんな先生のお話を直に聞くことができて良い経験ができました。医師は学び続ける事が必要という意味を理解した気がしました。「偉いお医者さんならなくていいからいいお医者さんになってね」という言葉がしめすとおり、患者さんにとっていいお医者さんになるには行動力やコミュニケーション能力はもちろん、向上心や目標に向かって走り続ける事が必要だとわかりました。私は自分の理想のお医者さんにむかって日々高みを目指している稲葉さんに憧れました。自分も稲葉さんのように患者さんにとって良い医師になりたいと思ったし、いつか医療従事者として世界の役にたちたいなと思いました。

◆  稲葉先生のお話の中で僕が一番印象的だと感じたのは医者という職業についてのお話です。医者の評価の話では、医者の評価は場所によって評価の物差しが変わり、大学病院では、論文や研究で、地域医療では人柄などで、また他の病院では違った評価が、といったように医者という職業には1つの基準があるというわけではなく、働く現場や状況によって多岐にわたる医者への評価の基準があり、自分に合わない場所で働くのではなく自分にあった評価がされる場所で働くべきだという話が心に残りました。僕の将来の夢はまだ完全に決まっているわけではないですが、今回のお話を聞いたこともあり、医者として僕が住んでいる地域のような過疎化してしまった地域の医療を支え、地域住民の方々の心の拠り所、安心できる存在になりたいという気持ちがとても高まりました。

◆  ワークショップ前までは、稲葉先生はいろいろなことをされていてすごい人だなと思って事前学習していたのですが、実際に先生のお話を聞くとすごいなんてものじゃないなと思いました。海外や被災地で支援するというのは、ただ困っている人を助けたいというだけでは行けないし、災害や紛争に備えて訓練などをしなければならないし、すべきことがたくさんあるので本当にすごいなと思いました。稲葉先生のお話を通して、災害地への支援や海外支援は困っている人を救う偉大な活動だなと思ったのと同時に、自分自身も医療とかに関わらず困っている人に手を差し伸ばすことができる人間になりたいなと思いました。

◆  災害医療や海外への医療支援だけでなく、地域医療までニーズのある医療を行っているのは、患者さんの立場に立って考えられているからだと思った。ウクライナの避難民への医療支援で、現地の行政の人に頼まれて突然開始した診療所だが、うまく運営できるのは、現地の人々との協力と、先生の人脈のおかげだと思った。直接戦争による被害を受けた人よりも、ストレスによる病気や、持病の薬が無くなった人の方が多く診療に来たこと、戦争で病院の電子機器が壊れたりして病院が危機に瀕することは自分には想像できていなかった。他にも、ご飯を配る人など多くのボランティアの人がいて、医療だけでなく様々なボランティアの形があるのだと感じた。医療の知識が無くて困っている人を、医療でできるだけ助けてあげる人が医師だとおっしゃられていて、納得したし印象に残った。人を助ける職業として1番直接的な仕事が医師だと考えて、医師を志したが、他のどの仕事も需要があって存在するし、大学病院と地域医療では評価の仕方が異なるように、自分の1番得意な分野で活躍することが人を助けることに繋がると思った。

◆  災害が起こったときのために年1回訓練を実施している映像を見て、とてもハイレベルで訓練中と思えない光景で驚きました。実際に災害が起こったときに、社会の弱みができるだけないように対策を練られていて、自分たちが知らないところで私たちを守るための活動が行われていることを知り、もっと自分でも災害に対する準備をしておかなければならないと思いました。災害医療は医師でなくてもチームに加わることができると思い、もし、医療従事者になったら、災害医療への道も考えたいと思いました。また、医療は病院でも、僻地でもどこでも必要とされていると知り、医療という分野の幅の広さを感じ、奥深さも感じました。医療に対する興味・関心が高まり、もっと色々調べて、自分の将来の選択肢を増やしていきたいと思いました。また、自分が医療の世界に入るためには、より努力しないといけないと思いました。

◆  事前学習で津山高校の担当の國けてそれを強く感じました。災害現場で医療を提供する為には物資やエネルギーの確保が必要だし、トラブルを最小限にするためには社会的に立場が弱い人が日頃から自立するのに十分な支援を受けるべきだと分かったからです。物を準備するだけでなく、社会の問題を解決することや知識を持つことも減災につながるとわかりました。また、先生のお話から、目の前のことだけに考えを支配されないようにするべきだと思いました。例えば、今後大学に進んだら今よりも自分と志望が近い人たちとより専門的な内容を学ぶようになるから視野が狭くなりやすいと思うけど、自分が元々やりたかったことを見失わずに職業選択をしたいと思いました。似た仕事内容でも求められることが違ったりすることが分かったので、自分の適性に合う環境を見つけたいです。他にも、ロールモデルがいた方が迷うことが少ないと思っていたけど、人によって得手不得手が違うし、全く同じ人生ではないから適度に自分を受け入れていこうと思いました。

◆  今回のWSを通して私が1番感じたことは、治療や医療行為をすることだけが医師の役割ではないのだということです。今までは深く考えたことがありませんでしたが、治療した後の患者さんの生活のことも考えて医療を提供しなければならないというのは大事なことだとわかりました。また、災害医療や海外での医療支援では費用をどう使うのか、場合によっては命の選択をする場面もあると思うので、決断力も必要なお仕事だと思いました。1つの病院での勤務だけでなく、災害医療や地域医療、海外支援もされていたり、さまざまな科を経験されていたりと前線で向上心を持って医療に尽力されている姿にとても憧れを抱きました。私は将来、創薬の研究をしたいと考えていて、直接ではありませんが遠くから患者さんを支えられるような仕事をしていたと思っています。今はまだ勉強などたくさんしなければならないことがありますが、稲葉先生のように高い向上心や忍耐力、意欲を持って医療に携われるようにこれから頑張っていこうと思います。

◆  医師は自分の専門や診療科を決めているイメージだったので、今回お話を聞いて、特定の働き方を決めてしまわないという選択肢もあるのだと思いました。違う分野での経験が生きることはたくさんあると思うので、そのような働き方にも興味を惹かれました。稲葉先生は日本だけでなく海外へも支援に向かわれていて、「自分にできることで目の前の困っている人を助ける」というのを体現されているなと感じました。海外では、言語が違って困ることがたくさんあると思いますが、英語での会話を頑張ったり、「お大事に」など簡単な挨拶は現地の言葉を覚えたり、小さなことでも努力されているのがすごいと思いました。ワークショップでは、私達にも話しかけながらたくさんのお話をしてくださって、良い雰囲気の中で学ぶことができました。