SSH放射線セミナーを行いました

 7/29(木),理数科1年次生を対象に 愛媛大学学術支援センターより岩﨑智之先生をお迎えして,放射線セミナーを開催しました。このセミナーは,現在,自然科学の多くの分野で利用されている「放射線」についての基礎知識を講義と実習によって学ぶ研修です。 はじめに,岩﨑先生から放射線の種類と性質,発生源と発生のメカニズム,健康被害の仕組みと線量の関係について基礎的内容の講義をしていただきました。

<霧箱による放射線の観察> 次に各自で「霧箱」を作成して,放射線の観察を行いました。プラスチック容器の霧箱内を,アルコール蒸気で満たし,ドライアイスで冷却します。これにより,気体アルコールの過冷却状態を作ります。
過冷却状態のアルコール蒸気中を放射線が通過すると,その飛跡が飛行機雲のように見えます。実験ではモナズ石からの放射線(α線)と,宇宙からやってくる放射線である宇宙線ミュー粒子の飛跡を観察しました。
観察しやすいように部屋を暗くし,LEDライトを用いて飛跡を観察します。放射線が直接見えたわけではありませんが,未知の存在だったものが普通に飛んでいることを実感し,生徒も大興奮でした。

<自然放射線の測定>  次に,放射線測定器「はかるくん」(シンチレーションカウンター)を用いて,自然放射線の測定を行いました。花崗岩,船底塗料や湯の花などいろいろな物質からの放射線量を測定し比較を行いました。身の回りにある物質からも放射線が出ていることを確認することができ理解が深まりました。

<放射線に関するカードゲーム> 最後に放射線に関する正しい知識が身についたかを確認できるカードゲームを全員で行いました。グループごとに今日学んだ放射線に関するいろいろな分野の内容をカードゲームを行いながら確認し理解を深めました。

 本日の講演で,生徒は自然放射線のレベル,人体への影響と線量の関係など,放射線に関する正しい知識を得ることができました。また,放射線の有効活用の例として,医療では欠かせない技術となっていること,また工学や歴史学にも役立っていることも教えていただき,より詳しく勉強したいという意識が向上したようです。

<生徒の感想>

今回のセミナーを通して放射線の良い面をたくさん学ぶことができたので,これからも正しい情報を持って有効に活用できるようになりたいと思いました。

放射線は危険であるというイメージが強かったけど,土器の年代測定など有効な使い方があることを知って印象が変わりました。これからも放射線について正しい知識を身に付けていきたいと思いました。

きちんと科学的根拠を持って放射線について学ぶことができてよかった。今日学んだことを活用して風評などに惑わされず生活していきたいと思った。

放射線は人類の発展のためにとても重要な役割を持っていて,特に放射線に関係した医療や工学機器にとても興味が持てました。こうした活用について今後どんな進歩をしていくのか自分でも研究してみたいと思いました。