「メディカルサイエンスⅠ」第3回ワークショップ

10月10日(土)にピースウィンズジャパンの稲葉基高先生(本校理数科卒)をお迎えして,メディカルサイエンスⅠの第3回ワークショップを行いました。

外科医として働かれていた経験や、国内外の被災地への医療支援や災害医療に関わってこられた経験を生徒に語っていただきました。医師を目指す生徒達にとって医療への思いが強くなると同時に,自分が将来どう働いていくのか考えさせられる授業でした。

<生徒感想抜粋>
・稲葉先生のお話を聞いて1番印象に残っている言葉は「お医者さんになんなさい」 という言葉だ。「目の前にいる困っている人がいたら自分の持っている力でその人を助けるのが医師の役目」 と稲葉先生もおっしゃっていた。私が質問した内容でもあるが、もし目の前に困っている人がいて、公平性なども考慮しなければならない場合実際に私ならどう対処するだろうとこの話題が終わった後もずっと考えていた。自分の力で人をより良いほうに支援するのが医師なのではないか?私はお金を出さない。という結論をその場では出したが、その結論は医師の役目を果たすという面においては正解ではなかったのではないか、と。稲葉先生のように自分で判断しその場で適切な対応をとれるような、そんな医師になりたいと思った。その他にも避難所での医師のあり方、患者へどう接し何を最優先ですべきか、などリアルな医師の視点でのお話も聞くことができ、その場での処置や稲葉先生なりの考え方はこの先とても参考になると思う。また、「助言だけで改善は出来ない、やる方法を考えてこそプロ」 というのも災害時の時だけでなく、私たちの普段の生活の中にも当てはまることが多いと思い改善策を呈示していくことが大切だと感じた。「その場での適切な行動」 は状況によって異なり、所属しているグループによっても違うが、医師の役目は何なのかという事を忘れずに行動できる医師になりたいと強く思った。

・最後に先生がおっしゃった”do no harm”が1番考えさせられた。困っている人が目の前にいて、自分はその人を助けてあげられるだけの技術を持っているのに、その人、その地域のこれからのことを考えると助けるべきではなかったり、ただひとことに相手のことを考えた支援と言っても、自分の行動によりどんなことが起こるか、それが人にどんな影響を与えるか、気持ちの押し付け、自分の常識の押し付けになっていないかどうかなど、考えなければならないことはたくさんある。極限の状態だからこそ相手のことを考えて、冷静に、衝動的に行動しないことが求められる。立場が変われば考え方も変わるし、自分たちの当たり前は他の人の当たり前ではないことをしっかりと自覚するということは、災害の現場だけでなく日常生活の中にも生かすことのできる教訓だと思う。今回の講演を聞いて、自分が思っていたのとはまた別の医療従事者のあり方を教えてもらうことができて世界が広がったと感じている。仲間と一緒に考える時間もあってとても楽しい時間だった。