H30 理数科「先端科学研修」ニュースバル,SPring-8,SACLA訪問

7/26(木)に,津山高校から高速道路を使ってバスで1時間,理数科2年次生は兵庫県の播磨科学公園都市に到着し,世界最先端の研究施設であるにニュースバル,SPring-8,SACLAの3つの施設を見学しました。

この3つの施設は,「放射光」という光を使って物質を原子レベルで分析することのできる巨大な施設で,特にSPring-8,SACLAは世界一の性能を誇ります。

 

① ニュースバル(兵庫県立大学高度産業科学技術研究所)

ニュースバルでは,極端紫外光から軟X線領域の放射光を用い,さまざまなナノテクノロジー開発を行っています。研究員の方から施設や研究内容の説明を受けた後,蓄積リングのあるビームライン内を見学させていただきました。実験機器には,機械の熱放射を防ぐためにアルミホイルが巻かれていました。

見学後,研究員の方から質問タイムを用意していただきました。施設のことや研究内容のことなどについて質問に答えていただきました。現在2年次生は課題研究に取り組んでいる最中であり,研究員の方のお話は大いに参考になったはずです。


▲ 実験機器を間近で見学させてもらいました。

② SPring-8&SACLA

SPring-8は円形加速器から発生する放射光を利用する大型実験施設であり,SACLAは世界でも数少ないX線自由電子レーザーを発生することができる施設です。

放射光普及棟でSPring-8(Super Photon Ring 8GeV)とSACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)の概要について説明を受け,いよいよSPring-8とSACLAの見学へ。

SPring-8では,まずその施設の巨大さに圧倒されました。夏休みの点検で運転が止まっていたため,中に入って見学させていただきました。1周1.4 kmのリングの大きさも,午前のニュースバルと比べながら体感できたことで,生徒の驚きも大きかったようです。


▲ まずは施設の概要を説明していただきました。


▲ 実験施設内は,とても広い。そのため,実験する研究員は,施設内専用の自転車で移動するそうです。

続いて,SACLAの実験棟へ移動。実際にこちらで研究を行っている本校卒業生の登野先輩から,施設や研究についての説明をしていただきました。「なぜSACLAは直線型なのか」といった研究に関する専門的な内容から「電気代など1年でどのくらいかかるのか」といったものまで,多くの質問に答えていただきました。

「世界中で,この施設でしか見ることができないものがある。そのために,たった数日間に何千万円という費用をかけて世界中から研究者が集まってくる。」という話に,驚かされました。

また,その施設が日本にあること,そこで津山高校の先輩が働いていることについて,理数科生徒は大変誇らしく感じたのではないでしょうか。


▲ 2011年位に完成した,まだ新しい実験施設です。
エントランスも広く,きれいです。
最後に生徒全員で記念撮影。将来,ここで実験する研究者が,この中から出てくることでしょう。


▲ 窓越しからの見学です。世界最先端の施設のため,外国から実験に来られている方も多くいるようです。本校卒業生の登野先輩から,概要を説明していただきました。

<生徒の感想(抜粋)>

・SPring-8では,原子や分子レベルの構造を観察分析できることによって,数多くの分野に役立っていることがわかりました。特に医療分野では創薬などに役立っていると知りました。ニュースバルでは世界最先端の技術を見せていただき,SPring-8やSACLAではアメリカやドイツの研究チームが来ていました。まさに世界基準の技術なんだなと感じ,日本の技術は世界トップレベルだと誇らしく思いました。このような世界最先端の研究施設で津山高校の先輩が研究者として勤務していることがすごいと思いました。丁寧な講義もありがとうございました。

・世界最先端の研究が行われており,研究するには論文をたくさん読む必要があり,そのためにも英語をしっかり勉強しておくという貴重なお話もいただいた。研究内容は難しかったが,フレミングの左手の法則で説明ができる原理などもあり身近に感じることができた。講義や見学から,勉強というのはただ覚えるだけではなく,その本質を理解することが,大学,社会に出ても大切なことだと思う。化学反応を分子レベルで解析するなどの物事の根幹について研究してみたい。

・どの研究施設も,日本の技術力の高さと研究者のプライドのようなものを感じられた。高校生にもわかりやすく丁寧に説明していただいて感謝しています。応用研究として社会に役立つことの大切さを実感しました。基礎と応用研究をバランス良く成り立たせることが社会の発展に貢献できるのだと思います。そのためにも,科学技術の先端にいる方々が常に言われる「決断力のなさ」が日本人の弱点なんだとも感じた。この素晴らしい技術を活かすためにも決断力を高めていかなければならないと感じた。

・SPring-8やSACLAの違いについて知ることができました。結晶化しなくても解析できることに感動しました。ニュースバルを見学したのは初めてで,女性科学者が研究している姿を見て,改めてSPring-8で働きたいと思いました。放射光が工業分野だけではなく医療や光合成研究などに役立っていることを理解できました。また,様々な波長の光を,それぞれの特徴に応じて様々な用途で利用していることを知り,物理をしっかり勉強しようと思いました。放射光を使っての材料の分析,新材料の創造,微細加工技術に非常に興味を持ちました。

・今回の研修で,将来の夢について考えるこができ,英語の重要性も理解できました。最先端の技術の素晴らしさを肌で感じることができたと同時に,日本の若手研究者や技術者の現実,技術の空洞化とよばれることについても知ることができました。自分たちは自分の興味で研究していくことも大事だが,日本という国の科学技術に貢献するために企業等と共同研究していくことも大切だと分かりました。自分たちの世代が,現在のすごい技術が今後世界に負けないように,基礎・応用をしっかり研究していく必要があると思いました。